生きるとは、自分の物語をつくること

生きるとは、自分の物語をつくること

生きるとは、自分の物語をつくること

対談の中身ももちろん
とても興味深いけれど、
小川洋子さんのあとがきのなかの
河合隼雄さんの物語というものの解釈。

いくら自然科学が発達して、人間の死について論理的な説明ができるようになったとしても、
私の死、私の親しい人の死、については何の解決にもならない。
「なぜ死んだのか」と問われ、「出血多量です。」と答えても無意味なのである。
その恐怖や悲しみを受け入れるために、物語が必要になってくる。
死に続く生、無の中の有を思い描くこと、つまり物語ることよって
ようやく、死の存在と折り合いをつけられる。
物語を持つことによって初めて人間は、身体と精神、外界と内界、
意識と無意識を結びつけ、自分を一つに統合できる。
人間は表層の悩みによって、深層世界に落ち込んでいる悩みを感じないようにして生きている。
表面的な部分は理性によって強化できるが、内面の深いところにある混沌は
論理的な言語では表現できない。
それを表出させ、表層の意識とつなげて心を一つの全体とし、
更に他人ともつながっていく、そのために必要なのが物語である。
物語に託せば、言葉に出来ない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる。

生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げていくことに他ならない。

こんなに物語について納得がいく解釈が他にあろうか。